先月31日の中国空軍機によるスクランブル発進の対象になった航空機は、「日本の戦闘機だった」とするコメントが中国の軍事研究者の発言として香港紙が伝えている。この中国の軍事研究者というのは、中国軍事科学学会の羅援副秘書長で、中国軍の少将でもあった軍事関係者である。
 しかしながら、このコメントには「日本の戦闘機だった」とするだけで、その機種などは明らかにしていない。

 この羅援副秘書長のコメントは、筆者としてはにわかに信じがたいのである。というのは、その日本の戦闘機はどんな目的でその空域を飛行していたのかということがある。つまり、この空域は自衛隊のレーダーの監視範囲であり、通常、日本の航空自衛隊が監視目的で飛行する空域ではないと考えるのである。もちろん、日本の防空識別圏内であるわけだから、航空自衛隊の監視範囲ではある。
 そして、この空域は日本と中国との間である種の緊張関係を生成している地域であり、航空自衛隊の戦闘機がそれを刺激するのは無意味なことであると考えるからである。

 だとすると、この羅氏の発言の目的は他にあったのではないかと筆者は推測するのだが、それがどんな目的であるのかを知ることはできない。とは言え、この羅氏の発言は、筆者の私見では「中国国内、中国国民に向けた発言であった」と考えるのである。

 なぜかと言えば、羅氏のコメントに対する検証は日本の政府や自衛隊では詳細に把握できているのであって、羅氏がこの時期に、このコメントをメディアに語る意味がどこにあるのかと想像すれば、明らかに「中国国内向け」であるとしか考えられないからである。

 しかしながら、この羅氏のコメントが中国の一般国民にどれほどの信ぴょう性を持って受け入れられるかは、疑問であるとしか言いようがない。
(<a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/140202/chn14020215140003-n1.htm" target="_blank"><span style="color:#FF0000;">この記事を参照のこと</span></a> )